838-金がないなら知恵をしぼれ7

 

10 「使う」ことで顧客満足が高まる
 飛行機のマイルは「利用シーン」をイメージしているか?

 

僕は仕事の関係だけでなく、個人的にも旅が好きなので、飛行機をよく利用
する。気がつくと世界をぐるり二周できるほどのマイルが貯まっていた。

 そこで特典航空券の予約を試みた。ところが、特典用の席には限りがある
ようで予約ができなかった。直前であっても正規料金の席には空きがある
のにだ。

 その航空会社のマイルがたくさん貯まっている人は、間違いなく上得意
顧客である。だから、海外に行けるほどマイルが貯まっている顧客には、
最大級のサービスをするべきだと思うとは僕だけではないだろう。

人気路線を除けば、全体の数パーセントにはかならず空席があるはずだ。
それなのに、制限を設けているのは、マイルで乗る客ばかりだと儲からない
だとか、無料で乗せてやっているのだから空いたときに乗ればいいなどと
いう廃品活用的な発想に成り下がっているからではないだろうか?
 
マイルとは、貯めることに意味があるのではなく、使えてはじめて顧客
満足が生まれるものだ。

 結局は、航空会社は満足度についてどう考えているのかという問題意識が
問われることになる。満足度向上という目的からいえば、正規料金の席に
空きがあるのであれば、マイル利用のお客様に席をすぐさま用意するのが
正しいあり方であろう。

 使いやすいマイルにより顧客の満足が高まれば、その結果「次回もぜひ
利用しよう」と思うのは当然だ。

それが選ばれる航空会社の進む道である。
 
忘れてならないのは、消費者が実際にサービス・商品を使うシーンを想像
すること。企業は、この「使用シーン」の想像力が欠如していないか常に
確認すべきだなのだ。お客様の立場になって心理を考えることが、満足度
向上の第一歩となる。

 マイルを航空券に交換する場合、カード所有者本人と配偶者、または家族
カードの所有者だけなのも気になる。自分が貯めたポイントを、誰がどうい
う形で使おうが問題はないはずだ。ちなみに海外のエアラインにそんな縛り
はない。
 
たとえば、ノースウエスト航空の「ワールドパークス」には「バイマイル」
というマイルを直接購入できるサービスがある。これは2500マイルを105$、
一年間上限7500マイルを265$で購入可能というもので「あと少しマイルが
あれば特典航空券に交換できるのに」というお客様の「くやしさ」を軽減
している。
 
また、タイ国際航空のロイヤルオーキッドプラスでは、ホテルの予約も
マイルで可能だ。ノースウエスト航空と同様、マイルが交換したい特典に
足りない場合の不足分も購入できる。ただし上限は3万マイルまでだ。

このように、制限を撤廃し消費者の想像を越えたサービスにはどんなも
のがあるのか、企画してみよう。

課題10 お客様に喜んでいただくために想像を超えるサービスを考えよう。

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  2010年06月19日   岡崎 太郎