862 - カップ麺

日清はがんばっている。
コンビニのPBカップ麺のことだ。

そもそもカップラーメンの定番である、ノーマルの醤油とカレーとシーフード
この3種類をコンビニがPBとしてオリジナル化している。
セブンイレブンさんの製造はサンヨー食品である。
(焼きそばは東洋水産)

よく考えなくともわかるが、これは日清食品さん(以後日清で)の発明品だ。
醤油味はともかく、近所のラーメン屋で、カレー味とシーフード味を見たことはない。
その味の傾向は日清のカップヌードルのそれだもの。

 特筆すべきは、その価格である。

 PB製品が170円(税込み)およそ150円であるのに対し、日清製は度重なる値上げもあって236円(税込み259円)である。
ギリ260円以内にしたかった意図が見える。およそ300円である。つまり感覚では2倍、正確に比べると34%も高い。
この狭い店内でこれほどの価格差のある商品が平然と売られているのも奇異な光景だと思う。

 世の中は円安だインフレだで、生活が苦しいという感じが蔓延している。
であれば、そもそも定価販売のコンビニは成り立たないはずだが、近いという便利さには抗えないということか

 ところが同じ店内で、34%もの価格差にさらされて、日清は戦えているのだろうか?

結果から言えば、売上は前期比9.5%増の7,329億33百万円。営業利益は前期比31.9%増の733億61百万円。
これは予想外だ。

 なにせ日清はセブンと違い、新しい味の企画だなんだ、テレビCMを流さないといけない。
 反対にコンビニは日清が育ててきた3つの定番味を低価格で販売すればいい。

 もちろん開発の人はコンビニも日清もかなりギリギリの戦いをしていると思う。
 こんな戦う前提が違う中で売上も利益も伸ばすのは中々できることではない。

 カップヌードルという世界商品をゼロから生み出し育ててきたプライドだけでは無理だ。
 
 それにしても格安PB商品は消費者にとってはありがたいことは間違いない。
 味もひと昔前より格段に美味しい。言ってしまえば日清と比べても遜色ない。そして34%も安い。
 (PBの開発は熾烈だと思う)

 しかし、それでいいのかコンビニ!それが正解なのか?
 単純にいえば、セブンをはじめ大手コンビニは、日清をパクった盗人なのだ。
 オリジナルへの敬意などない。
 
 単にPBを企画して安く売れば儲かる。
 商売の精神の問題だろうが、そんなこと言っちゃいられんのか
 世界はそんなこと何も気にしてないのか?

 どうにも引っかかる。

 「アマゾンベーシック」もそうだ。
 メーカーが開発し育ててきた商品を、販売データから、おっこれは儲かるぞと
 PBというパクリ商品を後発する。これはずるい。
 売上はアマゾンの小売売上高に占めるアマゾンベーシックの割合は1%という。
 世界の売上はおよそ60兆円というから、それでも6000億円である。
 ラインナップは乾電池から雑巾からトラベルキャリーケースまで、その数は数千点といわれている。
 価格勝負で「単3電池20個で786円で10年保証」
 そりゃあ売れるだろう。


 と思ったら、
 アマゾンは乾電池戦争が起きていた。
 血で血を洗うレベルだ。勝者が見えない。

 「東芝アルカリ乾電池 単3x20本」800円とブランド差をプラス14円つけている。
ちなみに最安は「三菱アルカリ乾電池 単3x30本」800円、10本も多くてである。
「Verbatim アルカリ単3 x30本」980円
というマイナーメーカーでこの価格だから、三菱の頑張りようがわかる。
単3と単4のセットだと
「三菱アルカリ乾電池 単3x20本、単4x20本の合計40本セット」で1180円
というのもある。

 このようにアマゾンは価格での叩き合いに発展している。
 パナソニックのようにエボルタというブランドを育ててきたメーカーは
この低価格戦争には巻き込まれたくないのだろうと予測する。

 これは日清も同じなのかも知れない。
  2024年07月02日   岡崎 太郎